パンチングメタルコラム

Perforated Metal Column

パンチングメタルこぼれ話

2018.03.15

・国内の製造業者は50社余り

 身の回りの製品から屋外の建造物や工場内部、インフラ関連まで、国内外の幅広い産業分野で使われているパンチングメタルですが、国内の製造業者は50社余りと考えられています。別項でも触れていますが、パンチングメタルを扱う業者だけの業界団体はありませんので、業界内の詳しい状況は掴みにくいのが現状です。

 しかし、その機能は他の部品に置き換えることが難しいため、一定の市場性があります。50社はその中で自社の得意分野を生かし、それぞれに住み分けています。ですから、同じように見える孔の形や配列も、よくよく確かめると、各社固有の微妙な違いがあります。もちろん、規格に沿った工業製品ですから、一見するとA社の製品とB社の製品は同じですが、製法のわずかな違いは見る人が見れば一目瞭然です。

・パンチングメタルの孔は丸から角まで多彩

 パンチングメタルは板状やシート状の金属材料を金型で打ち抜いて作られます。ウチヌキという社名の由来でもあります。打ち抜かれた孔の形状で最も多いのは丸孔です。スピーカーカバーに無数に開けられた孔でおなじみです。丸孔に次いで多いのが角孔(四角形、六角形など)や長孔、長丸孔などです。用途によっては丸孔と十文字が規則的に配列された丸十というパターンが使われます。

 こうした基本的な孔の形のほか、孔の径や孔と孔との中心間隔(ピッチ)、面積当たりの数、配列、パンチング周辺の余白などによって、さらにたくさんの種類があります。同じ配列であっても、例えば「千鳥」などは90度回転させることで見た目の印象が変わります。ちなみに、パンチング周辺の余白部分をフチ、ガクブチ、ヘリ等とと呼びます。素材端部に打ち残し部を残して加工するとガクブチ仕様になります。ガクブチ仕様には周囲四方にガクブチを残す場合と、幅方向のみなど一部だけに残す場合があります。余白の寸法は孔の端部から素材の端部まで、孔の中心部から素材の端部までのいずれかで決まります。

・パンチングメタルに使われる素材もさまざま

 パンチングメタルは「メタル」という言葉が含まれているように、基本的に金属素材にプレス加工して作ります。使われる素材はスチール、メッキ鋼、ステンレス、アルミ、ブロンズ、チタンなどが一般的です。近年は塩ビシートや樹脂パネルなど金属以外の素材にも加工できるようになりました。必要に応じて2次加工をすることも可能です。

 パンチングメタルはそれ自体、平面的に採用されることが最も多いのですが、異素材と組み合わせることで使用される場面を広げたり、機能を高めたりします。通気や通風、遮音、吸音、フィルターなど、使用目的に応じたさまざまな場面で活躍しています。

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