2026.09.15
工場設備の騒音対策、鉄道や高速道路など交通インフラの騒音対策、建築物の音環境改善など、さまざまな場所で防音・吸音パネルが使用されています。
その構成部材として多く採用されているのがパンチングメタルです。
パンチングメタルは、材料に多数の孔を設けることで、素材の特性を持ちながら音を通すことができます。
また、孔径・ピッチ・配列・開孔率などを用途に応じて設定できることも大きな特徴です。
本記事では、パンチングメタル専門メーカーの視点から、吸音用途でパンチングメタルがどのように使用されているのか、また、孔径・ピッチ・配列・開孔率・材質・板厚など、製作にあたって検討されるポイントについて解説します。
一般的な吸音パネルでは、パンチングメタルの背面にグラスウールやロックウールなどの吸音材を配置します。
音はパンチングメタルの孔を通って背面の吸音材へ到達し、そこで吸収されます。
このような構造では、パンチングメタルは音を背面の吸音材へ通すとともに、吸音材を覆う表面材としての役割を担います。
一方、吸音材を使用せず、パンチングメタルの孔と背後に設けた空気層や空洞などを利用して吸音する構造もあります。
吸音の仕組みは製品や構造によって異なるため、必要な吸音性能や対象となる音の周波数などを踏まえ、吸音パネルメーカーや設計者によって構造全体が設計されます。
パンチングメタルメーカーは、その設計で求められる孔径・ピッチ・配列・開孔率・材質・板厚などの仕様を、実際のパンチングメタルとして製作する役割を担います。
吸音用途では音を通す必要があるため、開孔率は重要な要素の一つです。
しかし、表面材として考えた場合、単に開孔率が高ければよいというわけではありません。
開孔率だけを比較すれば、エキスパンドメタルなど、パンチングメタルより高い開孔率を得やすい材料もあります。
一方、パンチングメタルには、板全面に孔をあけるだけでなく、四辺や指定した部分に孔をあけない「ガクブチ(額縁)」を設けられるという特徴があります。

四方にガクブチを設けることで、背面に吸音材を収めるボックスやフレームとの接合部分には孔を設けず、必要な部分にだけ開孔することができます。
溶接やボルト固定など、製品の構造に応じた接合部分を非開孔部として確保できることは、吸音パネルなどの構成部材としてパンチングメタルを使用するメリットの一つです。
また、孔径・ピッチ・配列を変更することで要求される開孔率に対応できるほか、材質や板厚なども用途に応じて選定することができます。
パンチングメタルでは、用途に応じてさまざまな孔径が使用されます。
孔径は開孔率にも関係しますが、同じ開孔率であっても、孔径とピッチの組み合わせによってパンチングメタルの外観や加工条件は異なります。
吸音用途では、吸音構造を設計するメーカーや設計者などから、必要な孔径が指定されることもあります。
特に小径孔では、孔径と板厚の関係によって加工難易度が高くなるため、希望する仕様が実際に加工可能かどうかを検討することが重要です。
ピッチとは、隣り合う孔の中心から中心までの距離です。
同じ孔径であっても、ピッチを狭くすれば開孔率は高くなり、広くすれば開孔率は低くなります。
ただし、孔径に対してピッチを極端に狭くすると、孔と孔の間(ホネ)に残る材料が少なくなり、加工時の変形や製品強度などにも影響するため、加工性を含めた検討が必要です。
丸孔パンチングの代表的な配列には、60°千鳥、45°千鳥、90°並列などがあります。
同じ孔径・ピッチでも、配列によって開孔率は異なります。
一般的な配列では、同じ孔径・ピッチの場合、「45°千鳥 > 60°千鳥 > 並列」の順に開孔率が高くなります。
したがって、要求される開孔率を検討する際には、孔径とピッチだけでなく、配列についても考慮する必要があります。

開孔率とは、パンチングメタル全体の面積に対して孔が占める面積の割合です。
例えば同じφ5mmの丸孔でも、ピッチや配列を変えることで開孔率は変化します。
吸音用途では、採用する吸音構造に応じて必要な開孔率が設定されます。
パンチングメタルメーカーとして重要なのは、指定された開孔率に対して、どのような孔径・ピッチ・配列で製作するのか、さらにその仕様が材質や板厚を含めて実際に加工可能なのかを検討することです。
吸音用途のパンチングメタルには、使用環境に応じてさまざまな材質が使用されます。
代表的なものとして、スチール、ステンレス、アルミニウムなどがあります。
屋内で使用する吸音パネルや設備カバー、屋外で使用する防音・吸音設備など、設置環境によって求められる耐食性や重量、強度などは異なります。
パンチング加工の可否や加工性も材質によって異なるため、使用環境だけでなく、孔径・板厚などとの組み合わせを含めて検討する必要があります。
板厚は、パンチングメタルの強度・重量・加工性などに関係します。
一般的に板厚を厚くすると剛性を確保しやすくなる一方、重量が増加します。
また、パンチング加工では孔径と板厚の関係も重要です。
特に孔径に対して板厚が厚くなるほど、パンチや金型への負荷が大きくなり、加工が難しくなる場合があります。
そのため、吸音設計上必要な孔径だけでなく、材質・板厚を含めてパンチング加工が可能な仕様かどうかを確認することが重要です。
パンチングメタルでは、製品全面を同じパターンで加工するだけでなく、用途に応じて孔をあけない部分を設けることができます。
代表的なのが、製品の四辺に非開孔部を残す「四方ガクブチ」です。
吸音パネルの表面材として使用する場合には、ボックスやフレームとの接合部分をガクブチとして残し、それ以外の部分をパンチング加工するといった設計が可能です。
また、四方すべてを残すだけでなく、製品形状や後工程に合わせて部分的にパンチングしない部分といったように、「どこに孔をあけ、どこに孔をあけないか」を設定できることも、パンチングメタルの特徴です。
パンチングメタルは、さまざまな吸音・騒音対策製品の構成部材として使用されています。
例えば、工場設備の防音・吸音カバー、コンプレッサーなどの設備カバー、空調設備、道路・鉄道関連の防音・吸音パネル、建築物の吸音壁・吸音天井などがあります。
吸音用途にパンチングメタルが数多く使用されているからといって、パンチングメタルだけで吸音性能が決まるわけではありません。
吸音材を使用する構造では、パンチングメタルだけでなく、吸音材の種類や厚さ、空気層、パネル全体の構造などが吸音性能に関係します。
また、吸音材を使用せず、孔と背後の空気層・空洞などを利用する構造もあります。
したがって、対象となる音の周波数や必要な吸音性能に応じた音響設計は、吸音パネルメーカー、防音メーカー、設計者など、それぞれの専門分野で検討する必要があります。
一方、パンチングメタルメーカーには、その設計によって求められた仕様を、実際に加工可能なパンチングメタルとして製作する役割があります。
指定された孔径・ピッチで加工できるか、指定された開孔率をどのような孔径・ピッチ・配列で実現するか、指定された材質・板厚で加工できるか、必要な位置にガクブチや非開孔部を設けられるか、必要な製品寸法で製作できるか、といった点はパンチングメタルメーカーの専門領域です。
株式会社ウチヌキでは、パンチングメタル専門メーカーとして、さまざまな仕様のパンチング加工に対応しています。
パンチング加工に使用する金型を自社で設計・製作しているため、一般的な規格品だけでなく、用途に応じた孔径・ピッチ・配列などの特注仕様にも柔軟に対応しています。
吸音用途においても、指定された孔径・ピッチ・配列への対応、要求される開孔率に応じた仕様の検討、小径孔のパンチング加工、さまざまな材質・板厚への対応、ガクブチや部分的な非開孔部を設けた加工、大型サイズのパンチング加工など、要求仕様に応じたパンチングメタルの製作に対応しています。
「この開孔率を実現するには、どのような孔径・ピッチが考えられるか」「この材質・板厚で指定された孔径を加工できるか」「接合部分だけ孔をあけずに残したい」といった、パンチングメタルの加工・製作に関するご相談にも対応します。
パンチングメタルは、吸音パネルや防音設備など、さまざまな吸音用途の構成部材として使用されています。
吸音性能はパンチングメタルだけで決まるものではなく、採用する吸音方式や構造全体によって異なります。
その中でパンチングメタルには、孔径・ピッチ・配列・開孔率・材質・板厚を用途に応じて設定できることに加え、ガクブチなどの非開孔部を設けられるという特徴があります。
ウチヌキでは、パンチングメタル専門メーカーとして、自社で金型を設計・製作し、規格品から特注仕様まで幅広いパンチング加工に対応しています。
吸音用途で特殊な孔径・ピッチ・開孔率が必要な場合や、ガクブチを含む特注パンチングメタルをご検討の際は、お気軽にご相談ください。