2018.03.15
・仕様を決定する要素は板と孔
パンチングメタルは「打抜金網」と呼ばれることでも分かるように、一般的に金網の一種と考えられています。素材に対して好きな場所に打抜加工をすることができるので、折り曲げや取付け孔などの後加工が行いやすいのが特徴です。また、モルタルの下地として使われるラス金網や、線に波状のカールを付けたクリンプ金網などに比べ、金網面に凹凸なく加工できる点も優れています。
パンチングメタルの仕様を決める要素を突き詰めると、素材として使われる板(主に金属)と開けられる孔に辿り着きます。具体的には「材質、板厚、板の形、板のサイズ」と「孔の形、孔の大きさ、孔と孔の距離(ピッチ)、孔の配列」の組み合わせ方でさまざまなパンチングメタルが生み出されます。これらは言わば、無垢(むく)の状態で、孔開け後の処理として「曲げ加工の有無」「表面処理の有無」「表面処理の内容」が加わると、さらに多種多様なパンチングメタルが揃います。
・配列は大きく分けて3種類
パンチングメタルに開ける孔の配列は一般的に「60度千鳥」「45度千鳥」「並列(90度、並」の3種類に分けられます。それぞれの見分け方は近接する孔の中心を結ぶ形で表すことができます。例えば「60度千鳥」の場合、近接する孔の中心を結ぶと常に正三角形になります。「60度千鳥」で浮かび上がる正三角形はどの角の度数も60度なので、そう呼ばれています。
同様に「45度千鳥」は近接する孔の中心を結ぶと直角二等辺三角形になります。サイコロの目で表すと「五」の配列です。メーカーによっては「角千鳥」と呼びます。「並列(90度、並」は文字通り並列に並んだ状態で、近接する孔の中心を結ぶと正方形になります。サイコロの目で表すと「四」の配列です。 「60度千鳥」を抜くときのパターンは、打ち始めと打ち終わりの形状が異なります。抜きパターンは金型(図1)の形状を反映するので、一般的には非対称形千鳥抜(図2)のようになります。抜き終わりも同様の形状で揃える場合には別途一列型(または一本型)で埋め、両端対称形千鳥抜(図3)に整えます。
抜き方には正千鳥抜きと逆千鳥抜きという分け方もあります。通常は図4のように板巾の短い辺が千鳥状となり、板の長い辺が目方向(送り方向)となります。これを正千鳥抜きと呼びます。一方、辺の向きを入れ替えた図5のような打抜方法を逆千鳥抜きと呼びます。板厚と孔との関係で、ピッチが極めて狭いと加工が困難です。このような場合は図のような飛ばし型で金型を製作し、打ち抜きます。打ち始めた部分と打ち終わり部分とは一列ごとに孔が逆になって突き出ます。飛ばし抜き加工をした後に手加工で飛び孔を埋めて、通常の飛ばしなしのパターンに仕上げることもできます。
・パンチングメタルはプレス加工
パンチングメタルは板金に金型を用いて打ち抜くプレス加工の一種、パンチング加工で作られます。一般的なプレス加工品は「打ち抜いたもの」が製品になります。しかし、パンチングメタルの場合は「打ち抜かれた板」が製品になります。ですから、加工時に生じる歪みを打ち抜いたものの方に逃がす金型技術や精度を高める方法など、パンチングメタルメーカーにはさまざまなノウハウが求められます。
パンチングプレスは基本的に平坦な板に対する加工法ですから、立体的な形状にするためには、パンチング加工の後に成形加工を施す必要があります。パンチングメタル製品として流通するプレス成形品や板金加工で曲げられている製品、円筒形の製品、Rのついた製品などはみな、そのような二次加工を加えられています。
このように、パンチング加工は平坦で、直角が四方出ている四角形の素材に対する加工法ですが、ウチヌキでは立体的なアルミ押出型材などに対するパンチング加工実績もあります。パンチング加工後に周囲を切断すれば、異形状の加工も可能です。