パンチングメタルコラム

Perforated Metal Column

パンチングメタルの過去・現在・未来

2018.03.15

・篩(ふるい)から始まる歴史の1ページ

 「パンチングメタルってどんなもの?」の項目でも触れていますが、パンチングメタルの源流を辿ると、ザルや濾(こ)し器や篩(ふるい)などのように、さまざまな大きさの固形物を選り分けるために使われていた金網に行き着きます。日本では、砕石などを選別するのに使われた篩が始まりだという説もあります。大正時代のことです。しかし、金網は強度が弱く、すぐに使い物にならなくなってしまうため、もっと頑丈で安定的に使える製品を望む声が産業界のあちこちで起こるようになりました。

 試行錯誤の末に、鋼板に孔を開けて金網の代用とする考えが生まれました。こうして生まれたのが、製作工程そのものを表す「打抜金網」でした。多くの人の目に触れるようになったのはトランジスタラジオのスピーカーカバーとして使われたことがきっかけです。昭和30年代のことです。こうして、当初の選別用途以外の目的で数多く使われるようになりました。

・金型の進化で生産量も精度も大幅に向上

 パンチングメタルは基本的にさまざまな種類の金属板に金型で打ち抜くプレス加工です。建材用として使われることが増えるのに伴って加工面積の拡大化や生産量の増大も図られるようになりました。また、品質を左右する金型の進化に伴い、生産量も精度も大幅に向上しました。一方、金型を用いるプレス加工機の性能が高まったことで、より高品質なパンチングメタルが安価に製造できるようになりました。

 現在はメーカー各社が独自のノウハウでコストパフォーマンスの良い製品を提案し、製造業や建築業、インフラ関連などからの需要に応じています。従来の平面的でオーソドックスな製品ばかりでなく、立体的な二次加工を施した加工も増えています。特にCNC装置を搭載したコンピュータ制御の加工機の採用で製品品質は格段に高まりました。

・積極的に進む非鉄金属や樹脂への加工

 近年はウチヌキ独自のグラフィックパンチングシステム(UGP)など新技術の開発も積極的に進めています。用途の拡大に応じて、意匠性が高まっているのも特徴です。ウチヌキは文字表現、ロゴマーク、イラスト、写真、幾何学模様、自然、工業製品、その他の図形をコンピュータ制御で意匠性に富んだパンチング加工が簡単にできる体制を整えています。より高度な表現のために、金型製作からパンチングに付帯する二次加工、三次加工(表面処理など)にも力を入れています。

 素材対応では、従来の金属ばかりでなく、非鉄金属や樹脂などの加工を業界全体が積極的に進めています。こうした取り組みにより、優れた吸音性能や耐久性、多品種少量生産の推進、リーズナブルな価格での提供などを実現しています。将来はこうした進化を取り入れ、機能面ばかりでなく、デザイン的にもより高い付加価値のあるパンチングメタルがメーカー各社から提案されるでしょう。

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