パンチングメタルコラム

Perforated Metal Column

パンチングメタルの作り方

2018.03.15

・決め手は金型技術のノウハウ

 「パンチングメタルの仕様を決める要素は素材となる板と開けられる孔である」と別項で書きましたが、これは、あくまでも材料側の見方です。これを加工方法の側から見ると、パンチとダイと呼ばれる専用のプレス金型とそれを設置し実際に加工するプレス機の能力が重要な要素となります。

 パンチングメタルを作る際の基本的な作業であるパンチング(打ち抜き)加工はものを削る切削加工や磨く研削加工などの機械加工に比べて加工に要する時間が短く、大量生産できるのが利点です。作業そのものもシンプルですから、注文に応じて規則正しい孔の配列を安価で開けることが可能です。特別な金型を使えば、丸や角などの単純な孔ばかりでなく、さまざまな形状の孔を開けることもできます。ですから、加工する側から見ると、金型の技術がパンチングメタルの出来栄えを左右します。

・パンチング加工は、せん断加工の一種

 次に金型に力を加えて材料を加工するのに使われるのがプレス機です。この機械を使うプレス加工は「せん断」「曲げ」「絞り」「成形」「圧縮」などの種類があり大別されます。パンチング加工はこのうちの「せん断加工」の一種です。せん断加工は、目的に応じた形状の工具で板材などを破壊し、望みの形状や寸法に材料を切断、分離する加工法の総称です。パンチング加工の本質は一種の破壊加工なので、機械加工のように工具の形状を忠実に写し取るわけではありません。ですから、精度の高い製品を作るためには金型の設計や加工方法を工夫する必要があります。

 細かく言えば、実際のパンチング加工ではパンチとダイとの間に素材を置き、それに引っ張り力を加えて破断現象を生じさせて素材を分離します。やや専門的になりますが、打ち抜かれた製品の外形寸法はダイによって決まり、反対側の孔径はパンチによって決まります。素材が打ち抜かれる時に受ける圧縮と引っ張り応力は製品のダレやせん断、そりなどに影響します。これらはパンチングメタルの品質を決める孔の品質にも関係するので、金型とプレス機のバランスが大切なのです。

・質と量の両面で優位なプレス加工

 孔を開ける機械的な方法には金型(パンチ&ダイ)を使うプレス加工と工具を用いる切削加工があります。プレス加工は加工スピードが速く孔径や孔ピッチが均一で高品質な仕上がりになるのが特徴です。また、比較的単純な作業ですので大量生産に向いています。半面、工程ごとに金型が必要なので設計変更の際には時間がかかります。

 一方、切削加工は汎用性が高く、少量生産に向いています。半面、加工スピードが遅く、孔径や芯ずれが安定しにくいのが弱点です。このようなことから、品質と生産量の両面でパンチングメタルの生産にはプレス加工が優位であることが分かります。そもそも最初のパンチングメタルはプレス加工で作られているという歴史が証明しています。

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