パンチングメタルコラム

Perforated Metal Column

パンチングメタルをめぐる世界の動き

2018.03.15

・生産、販売とも順調に伸びる国内産業

 パンチングメタルを手がけるメーカーは国内外に多数ありますが、業界としては小規模であるため、例えば「日本パンチングメタル工業会」といった業界団体はありません。

 ですから、パンチングメタルという限られた製品の動きを正確につかむ手がかりもありません。しかし、他の項目で触れているように、パンチングメタルはさまざまな製品に形を変えて私たちの身の回りや産業界で貢献しています。

 そこで、この項目では、主に生産と販売から見た国内の動きと海外におけるパンチングメタルの使われ方を紹介しましょう。

 さまざまな工業製品の生産や販売の動向を知るには経済産業省の生産動態統計年報が役立ちます。しかし、残念ながら、この権威ある統計にもパンチングメタルだけの数字は出ていません。

 それはパンチングメタルが最終製品として家電や建築資材など、幅広い分野で使われているため、一種類のまとまった製品として算出することが難しいからです。

 一つの手がかりとして、孔を明ける前の状態である「軽金属板製品」の項目を見てみましょう。パンチングメタルの素材は鉄鋼、非鉄金属、樹脂と多岐にわたりますが、アルミニウムをはじめとする軽金属の需要が高いため、その動きはおおむね同じような傾向を示すと思われるからです。

 試みに、2012(平成24)年から2016(同28)年に至る5年間の推移をみると、生産は35万5000トン⇒36万2000トン⇒37万6000トン⇒38万9000トン⇒39万6000トンと、着実に増えています。販売も32万5000トン⇒32万6000トン⇒34万2000トン⇒35万7000トン⇒37万3000トンと同じ動きを示しています。

 もちろん、生産された製品すべてがパンチングメタルとして使われるわけではないので、注意しなければなりませんが、一定の需要を支えていることは読み取れます。

・海外でも活躍するパンチングメタル

 国内動向を踏まえ、海外に目を向けてみましょう。パンチングメタルは国内同様、海外でもさまざまな分野で採用されています。

 例えば、屋外パーティーなどで大音量の音楽を流しダンスを楽しむ国などでは大型スピーカー向けのパンチングメタル製カバーが数多く採用されています。

 有線、無線を問わず、スマートフォンなどに接続するミニサイズスピーカーにも多用されています。IT関係では、コンピューターサーバーラックの用途などでも活躍しています。

 パンチングメタルの用途の大きな柱である建築関係では、空の玄関口である国際空港などがパンチングメタル製の天井パネルや空調機、壁面パネルなどに採用しています。大がかりな見本市などを行うコンベンションセンターや大規模展示場なども天井や壁に採用しています。

 市街地のショッピングモールをはじめとする商業施設や駅舎などでも天井や壁の構築に欠かせない重要なアイテムとなっています。

 また、高速道路や鉄道沿いの防音壁といったインフラ用途からも根強い需要があります。先進国ばかりでなく、経済発展段階にある国々における都市整備や交通手段整備など、インフラ関連ではなくてはならない存在となっています。

 国内軽金属板製品の順調な生産推移は、パンチングメタルに課せられた重要な役割を浮き彫りにしているようです。

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