2026.06.15
パンチングメタルには包括的な専用JIS規格や国際規格はなく、孔径、配列、開孔率などは、用途に応じたメーカー基準や図面仕様によって決定されるケースが一般的です。
ここではメーカーである当社の基準となる規格について解説します。
パンチングメタルの「規格」とは、孔の形や大きさ、配列、板厚などの条件を定めた仕様のことです。
パンチングメタルは用途によって求められる性能が異なるため、適切な規格を選定することが重要です。
特にパンチングメタルの機能、性能、デザインに関係する「孔形状」、「孔径」「ピッチ」「配列」。
製品の強度、平坦度、耐食性などに関係する「材質」「板厚」は要求される機能、性能、品質を左右する重要な要素であり、通気性・強度・重量・デザイン性などに大きく影響します。
建築用途から産業機械用途まで、幅広い分野で活用されるため、目的に応じた規格選定が求められます。
孔形状とはパンチングで開孔する孔の形で、もっともポピュラーなのは正円の丸孔です。
他にも四角孔、長丸孔、長角孔、六角孔などは一般的です。
装飾孔など金型を製作すれば様々な孔形状に対応できます。
孔径とは、パンチングメタルにあける孔の大きさを指します。
例えば「5φ」または「φ5」と表記されている場合、直径5mmの孔があいていることを意味します。
孔径が大きいほど、開孔率の高いパンチング加工にも対応しやすくなります。
ただし、通気性や排水性の向上が期待できる一方で、「異物が通過しやすくなる」・「通気性が高くなりすぎる」・「高開孔率化に伴い板の強度が低下しやすくなる」といったデメリットも生じます。
また、建築やデザイン分野では、意匠性を重視して、あえて大きな孔径を採用するケースもあります。
その場合は、デザイン性だけでなく、製品強度や機能面にも配慮した設計が重要となります。
一方、小径孔はフィルター用途や意匠用途に適しており、細かなデザイン表現や異物侵入防止に効果があります。
ピッチとは、孔の中心から隣の孔の中心までの距離のことです。
例えば「5φ×8P」や「φ5-P8」であれば、直径5mmの孔が8mm間隔で配置されていることを表します。
ピッチが狭いほど開孔率は高くなり、通気性や軽量化に優れます。
一方で、孔同士の間隔が狭くなるため、強度低下や加工難易度上昇につながる場合があります。
配列とはパンチングメタルの孔の配置方法です。
大別すると「並列」、「千鳥」になります。
「並列」は孔が縦横まっすぐで碁盤の目のような配列パターン、「千鳥」は孔を互い違いにずらして並べ、レンガ積みのように交互に孔が配列されるパターンになります。
また「並列」でも縦横ピッチが同じ長さの並列、異なる長さの並列もあり、「千鳥」は近接する孔を結ぶと正三角形になる「60度千鳥」、正方形の中心に孔が入る、サイコロの5の目のような配列の「45度千鳥」が一般的ですが、他の角度の千鳥も存在し、配列パターンは無限にあると言っても過言ではありません。
素材の材質になります。
金属の場合、一般的にスチール、アルミ、ステンレスが多く、特殊金属素材として銅、真鍮、チタンなどの特殊材が採用されることもあります。
またアルミ樹脂複合板、ステンレス樹脂複合板や、金属以外で樹脂系の素材にパンチング加工する場合もあります。
材質によって色(樹脂の場合、透過も含む)、表面処理の種類、耐食性、強度に影響します。
板厚は、使用する金属板の厚みを指します。
一般的には0.5mm程度の薄板から、6mm程度の厚板まで幅広く対応可能です。
板厚が厚くなるほど強度や耐久性は向上しますが、重量や加工負荷も増加します。
また、孔径に対して板厚が厚すぎる場合、加工が難しくなることもあるため、バランスを考慮した設計が必要です。
額縁とは絵画などで使う額縁と同じ意味になります。いわゆる素材の端部周囲に孔があかない部分を意図的に作って加工する事になります。
パンチングメタルは一般的に外形が四角形なので周囲4辺の四辺額縁、また4辺に対して三辺、二辺、一辺の額縁や額縁なしの場合もあります。
外形が円形や四角形以外の三角形、多角形でも額縁は可能です。
額縁が作れる金網はパンチングメタルだけになります。
額縁がある事によりボックス形状の箱型曲げなども対応が可能になります。
額縁の有無、仕様によりパンチングメタルに要求される平坦度品質にも影響します。
同じ寸法の額縁でも材質、板厚により加工可否や品質にも影響します。
最も一般的なのが丸孔規格です。
丸孔は加工性に優れ、建築・機械・防音用途など幅広い分野で採用されています。
均一なデザインにしやすいのが特長です。
代表的な仕様には以下、60度千鳥配列、並列配列があります。
千鳥配列とは、孔を互い違いに配置するレイアウトです。
同じピッチでも開孔率を高めやすく、通気性や軽量化を重視する用途に適しています。
強度バランスも取りやすい点が特長です。
例としては以下があります。
並列配列とは、孔が縦横まっすぐで碁盤の目のように配置するレイアウトです。
例としては以下があります。
長孔規格は、スリット状の孔を配置したタイプです。
通気方向をコントロールしやすく、デザイン性にも優れています。
空調設備やルーバー用途、デザインパネルなどで採用されるケースが増えています。
例としては以下があります。
長孔の場合、孔形状は()内の手前の数字が短い径、奥の数字が長い径になります。
ピッチは()内の手前の数字が短い径側のピッチ、奥の数字が長い径側のピッチになります。
また長角孔の場合()でなく[]で表す場合もあります。
SUS304は、パンチングメタルで多く使用されるステンレス材です。
耐食性に優れ、屋外設備や食品機械、医療機器など幅広い用途に対応します。
SUS430も、パンチングメタルで多く使用されるステンレス材の一つです。
SUS304に比べて耐食性はやや劣りますが、材料コストを抑えやすく、磁性を持つことが特長です。
比較的加工しやすいため、厨房機器や内装用途、コスト重視の製品などで採用されています。
ステンレス素材は硬度が高いため、小径孔や高開孔率加工では加工条件に注意が必要です。
アルミは軽量で加工しやすい材質です。
建築内装、建築外装や装飾用途、輸送機器関連で多く採用されています。
軽量化しやすいため、大型パネルにも適しています。
一方で、ステンレスに比べると強度が低いため、用途によっては補強設計が必要です。
スチールはコストを抑えやすく、汎用性の高い材料です。
産業機械カバーや設備部材など、強度重視の用途で多く使用されます。
ただし、サビ対策として塗装やメッキ処理を施すケースが一般的です。
パンチングメタルは孔加工によって材料強度が低下します。
そのため、荷重条件や使用環境を考慮しながら、孔径・ピッチ・板厚を設計する必要があります。
特に高開孔率仕様では、板のたわみや変形に注意が必要です。
開孔率とは、板全体に対する孔面積の割合を指します。
開孔率が高いほど通気性や軽量化には有利ですが、強度低下や遮蔽性能低下につながる場合があります。
用途に応じて最適なバランスを検討することが重要です。
パンチングメタルには加工限界があります。
例えば、板厚に対して極端に小さい孔は加工できない場合があります。
また、高密度配列では金型寿命や加工精度にも影響します。
そのため、実際の製作では加工メーカーとの事前相談が重要です。
既製規格では対応できないケースも少なくありません。
例えば以下のような要望があります。
こうした場合には、特注による対応が必要になります。
特注パンチングメタルは、用途や必要性能を整理することから始まります。
一般的な流れは以下の通りです。
特注対応では、単なる孔あき加工ではなく、「機能性」と「製造性」を両立させる経験などに基づく提案力が重要になります。
用途に応じた最適な規格を選定することで、パンチングメタルの性能を最大限に引き出すことができます。